もうすぐ中3になるなぁ…。受験もあるし、これまでのままでは不安だし、何かを変えないとなぁ…と14歳の私は漠然と考え、
本を読もう!と決意しました。

それまで、読んでいなかった訳ではないのですが、ミステリーなど享楽的な本ばかりだったので、今の時代にも引き継がれている名作(文学)に挑戦しようと思ったのです。

すぐに国語力に反映するとは思いませんでしたが、1年後に何かしら良い影響を及ぼせたらと、家にある本を、なるべく薄いものから読み始めました(中学に進学するときに、親が買ってくれた名作全集が本棚にあった)。
002私の中学時代は、現在ほど児童文学作品が少なかったと思います。読んでみて難しい本もありましたが、「ともかく最後まで読もう」とだけ決意しました。

「車輪の下」(ヘルマン・ヘッセ)、「路傍の石」(山本有三)、「友情」(武者小路実篤)、「伊豆の踊子」(川端康成)、「野菊の墓」(伊藤左千夫)…。他にも森鴎外、菊池寛、芥川龍之介、宮沢賢治、井上靖など。明治から昭和の作家が多く、表記や難しい語彙など多くの壁がありましたが、登山だと思って頂上まで登ることを目標に課しました。

現在は多くの児童文学の旗手がおられますから、普段読書に慣れていない方は、森絵都(代表作「カラフル」)、重松清(同「とんび」)、あさのあつこ(同「バッテリー」)、梨木香歩(同「西の魔女が死んだ」)各氏の現代作品をお薦めします!(私が子どもの頃には、ありませんでした…。あったら、こっちを読んだでしょう。大人でも愉しめます)

001読み方は、人それぞれですが、1日の中の5分でも10分でも読める時間があれば充分だと思います。つづきから読めばいいのですから
私の始めた良書への挑戦は、夏を過ぎた頃まででした。本を読む時間さえなくなったからです。結果として、受験には好影響でした。名作とよばれるものは、古くから読み継がれているだけあり、心情描写が巧みで、登場人物に感情移入さえできれば愉しかったのです。入試問題をたくさん解くことになりますが、読解問題は全く苦になりませんでした。いつの間にか漢字やいろいろな知識も身につきましたし。国語には絶対の自信さえ生まれました。

この、ふとした決意は、思いもよらぬ結果にもなりました。受験が目的で始めた読書が、趣味になったことです。読んだ本の数だけ自分の知らない世界を知り、視野が広がりました。1冊読み終えた後のすがすがしさや達成感は、やみつきになりました。今も時間を見つけては読んでいます。
本を読む時間は、皆さんと同じで、ありません。自分で時間を作るのです。

落ち込んでいる時や、悩んでいる時にも、読書のお世話になりました。誰にも相談できないことも、本にはできました。まだ読んでいない名作や話題になっている本はたくさんあるので、残りの人生でいったい何冊読めるだろうという挑戦は今も続いています(新作も次々に生まれますし)。

以下は、近年生徒たちに薦めた作品で好評だった本です。参考になれば幸いです。

「キッチン」(吉本ばなな)
「夜のピクニック」(恩田陸)
「博士の愛した数式」(小川洋子)
「オルゴール」(中園直樹)
「蝉(せみ)しぐれ」(藤沢周平)
「神様のカルテ」シリーズ(夏川草介)
「ボッコちゃん」(星新一)